ふゆのまどべ 冬の静謐で、つんとした空気が好きだ。 目を閉じてめいっぱい鼻で息を吸う時、独特な水分を含んだかおりが鼻腔をつくのがたまらない。 特に雪が降るほど冷え込んだ日の空気は格別で、静けさと水っぽいかおりに顔を浸すと何とも言えない幸福感に包まれる。 首から下はすっぽりと布団に身をつつみ、顔だけ出して窓をすかして、こういう冬の空気を浴びる。 目を閉じているからいろんな音も聞こえる。車のタイヤが土やアスファルトを重たく蹴る音、子どもたちがめいめいに喋り遊ぶ声、たまに鳥のさえずり。 夏はおそらくどれもが重ったるくて賑やかすぎるように感じるものも、乾燥した空気にぱちぱちとあてられてしまえばどこか儚く遠く聞こえるのは不思議なものだ。 今朝から降り続く雪はそれほど湿ってもいないがひじょうにこまやかで、少し積もってはわずかの止み間にとけることを繰り返している。 このあたりの雪は水分量が多いゆえに、おそらく空気のかおりに水を感じるのだろう。夏場はそれが湿度となり息苦しさをさそうが、冬場の乾燥しきった空間ではにおいになる。潤いにはなっていないと思うが。 京都に住んでいる頃、十年に一度だかの積雪があった頃、近くの庭先にうず高く積もった雪の奥に見えた青白い光がなかなか忘れられないでいる。もしかすると雪国では比較的見知った光景なのかもしれない。こちらでは、主に太平洋の波打ち際が同じ色を出す。 形状が違うのに同じような色があるというのは、世界がほとんど同じもので構成されていて、私たちはわずかな環境に大きく左右されているというのを痛切に感じる。 雪は明日まで降るらしい。もちろん気温は今シーズンでは最低となりそうである。夜間にすこしは積もるかしらん。 すっかりあたたかくなってしまった冬だから、つんとした静謐な空気と匂い、雪がとてもありがたい。 しんしんと降る雪を聴きながら、その匂いを感じながら、誰もが寝静まる夜に冬とふたりきりになりたい。 雑記 2026/01/11(Sun)
冬の静謐で、つんとした空気が好きだ。
目を閉じてめいっぱい鼻で息を吸う時、独特な水分を含んだかおりが鼻腔をつくのがたまらない。
特に雪が降るほど冷え込んだ日の空気は格別で、静けさと水っぽいかおりに顔を浸すと何とも言えない幸福感に包まれる。
首から下はすっぽりと布団に身をつつみ、顔だけ出して窓をすかして、こういう冬の空気を浴びる。
目を閉じているからいろんな音も聞こえる。車のタイヤが土やアスファルトを重たく蹴る音、子どもたちがめいめいに喋り遊ぶ声、たまに鳥のさえずり。
夏はおそらくどれもが重ったるくて賑やかすぎるように感じるものも、乾燥した空気にぱちぱちとあてられてしまえばどこか儚く遠く聞こえるのは不思議なものだ。
今朝から降り続く雪はそれほど湿ってもいないがひじょうにこまやかで、少し積もってはわずかの止み間にとけることを繰り返している。
このあたりの雪は水分量が多いゆえに、おそらく空気のかおりに水を感じるのだろう。夏場はそれが湿度となり息苦しさをさそうが、冬場の乾燥しきった空間ではにおいになる。潤いにはなっていないと思うが。
京都に住んでいる頃、十年に一度だかの積雪があった頃、近くの庭先にうず高く積もった雪の奥に見えた青白い光がなかなか忘れられないでいる。もしかすると雪国では比較的見知った光景なのかもしれない。こちらでは、主に太平洋の波打ち際が同じ色を出す。
形状が違うのに同じような色があるというのは、世界がほとんど同じもので構成されていて、私たちはわずかな環境に大きく左右されているというのを痛切に感じる。
雪は明日まで降るらしい。もちろん気温は今シーズンでは最低となりそうである。夜間にすこしは積もるかしらん。
すっかりあたたかくなってしまった冬だから、つんとした静謐な空気と匂い、雪がとてもありがたい。
しんしんと降る雪を聴きながら、その匂いを感じながら、誰もが寝静まる夜に冬とふたりきりになりたい。